2006年05月15日

愛国殺人(アガサ・クリスティー 著)

いくら名探偵といえども、歯医者の治療台ではただの臆病者でしかなかった。
エルキュール・ポアロはビクビクしながら、モーリイ歯科医の治療を受けていた。
憂鬱な治療が終わり自宅でランチを楽しんでいたポアロに、電話がかかってくる。
スコットランド・ヤードのジャップ主任警部からだった。

「ポアロさん、今朝歯医者に行ったそうですが。」
「そのとおり。なぜです?」
「あのあとすぐ、彼は自殺しましたよ。」

ポアロが治療を受けている間、彼にはそんな素振りはまったくなかった。
彼の妹や秘書に聞いても、彼が自殺するような理由はまったくなかった。
これは、巧妙に仕組まれた殺人だったのか?
マザー・グースの調べに乗って起こる連続殺人事件に、
灰色の脳細胞を持つ男、エルキュール・ポアロが挑む!

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「そして誰もいなくなった」 「アクロイド殺し」が有名な、
ミステリーの女王、アガサ・クリスティーの作品です。
原題は「One, Two, Buckle My Shoe」で、1940年に出版されました。


ジャップ主任警部の依頼で、ポアロは自分のかかりつけの歯医者の
自殺と思われる事件について調査を開始します。
およそ自殺とは縁遠かった歯科医の死を調査するポアロの前で、
ほかの犠牲者が出てしまいますが、トリックにひっかかるような彼ではなく、
真犯人を見つけ出していきます。

各章の題名は、マザー・グースから付けられています。
マザー・グースとは、イギリスのいわゆる童謡のことですが、
アガサ・クリスティーはこのマザー・グースを好んで著書に取り入れていて、
「そして誰もいなくなった」 「ねじれた家」などでも使われています。

たいがいのポアロ物のクライマックスのシーンでは、
容疑者を一同に集めて「犯人はあなたです!」ってのが多いですが、
今回は犯人の元に出向き、自分の調査結果と結論を披露しています。
あくまで殺人の正当性を主張する犯人に対し、ポアロは告げます。
「人間は誰しも自分の命を他人から奪われないという権利がある」と。
いい言葉ですねえ。皆がそう感じているともっと安心な世の中なんでしょうが。


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1. 愛国殺人/アガサ・クリスティ  [ 黒猫の隠れ処 ]   2008年01月16日 14:16
名探偵ポワロ・シリーズ。 クリスティ作品としては異質のタイトルのような気が。内容を考えるとこれでもいいんだけど、なんかしっくりこない...

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