2005年11月27日

淋しい狩人(宮部 みゆき 著)

古書店「田辺書店」の実質的な経営者、イワさんこと岩永幸吉。
彼の元に、お得意様の安達明子が相談にやってくる。
用件は、安達家に届いた2枚のハガキのことだった。

明子の亡父で作家だった安達和郎の、未完のまま出版された最後の作品、「淋しい狩人」。
一見何の関連もない5つの殺人事件が、同一犯によるものだという探偵小説。
ハガキの差出人は、この小説の内容どおりに殺人を犯し、
未完の作品を完成させてみせるというのだ。

はたして、ハガキの内容どおりに2件の殺人事件が起き、
いよいよ警察がそのハガキを重要視して捜査をはじめるが・・・。

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模倣犯」、「理由」 が有名な著者が贈る、
古書店「田辺書店」を舞台に繰り広げられる事件を描いた連作短編集。

本をきっかけにして起こる数々の奇妙な事件の謎を、
田辺書店のイワさんと孫の稔が、その行動力で解決していきます。

ストーカーに付きまとわれる新妻の姉が行方不明の謎「六月は名ばかりの月」、
亡くなった父親の本棚に300冊もの同じ本が並んでいた謎「黙って逝った」、
幽霊屋敷と噂される古家の跡地の防空壕から出た遺骨の謎「詫びない年月」、
体中に傷跡がある小学生を虐待した犯人の謎「うそつき喇叭」、
電車の網棚から拾った本に挟まれていた1枚の名刺の謎「歪んだ鏡」、
亡くなった作家の小説に沿って起こる殺人事件の謎、表題作「淋しい狩人」、
全6話のストーリーを収録。

連作短編集ということで、登場人物はその主人公であるイワさんと、
孫の稔がベースとなっていますが、彼らが生き生きと描かれていて、
小気味よく展開していくストーリーもとても楽しめる作品です。
「歪んだ鏡」のラストのページがとてもいい。この話が1番好きですね。


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淋しい狩人
淋しい狩人
posted with amazlet on 05.11.25
宮部 みゆき
新潮社 (1997/01)
おすすめ度の平均: 4.75
5 六編の連作短編集
4 色々な意味での人間/人情小説
5 質が高く、おすすめできる短編集

mano_oil at 00:43│Comments(3)TrackBack(0)宮部 みゆき 

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この記事へのコメント

1. Posted by 鵺娘   2005年11月28日 09:58
5 「うそつき喇叭」の話が一番好きです。
「詫びない年月」の様に特定のイデオロギーを
強制する教師がいたとある掲示板に書いた所
法律で禁止されているのだからそんな先生が
いる訳がないと断定されました。
2. Posted by スライム   2006年03月18日 19:49
4 「歪んだ鏡」読みました。最後のアノ部分が何かを訴えかけているようでいいですね。この話もいいんですが、イワさんが格好良く見える「淋しい狩人」が一番好きです。最近こういうおじいさんが少なく(いなく?)なったような気がします。
3. Posted by mask   2006年03月25日 09:50
スライムさん、コメントありがとうございました。
宮部みゆきはずっと長編しか読んでいなかったけど、
短編もなかなか味わい深くっていいですね。

アガサ・クリスティーも読まれているとか。
ぜひ「そして誰もいなくなった」や「ねじれた家」も
読んでみてください。絶品ですよ!

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