2006年12月02日
隠し剣秋風抄(藤沢 周平 著)
次席家老の会沢志摩は、城下の雨貝道場で2人の門弟の試合を眺めていた。
小柄の方が吹っ飛んで倒れ、試合の勝敗が決まった。雨貝は志摩に尋ねる。
「どちらが上と見ましたかな」
「むろん、勝った方が上だろう」
「ところがそうではございません。負けた方が技倆は上でござります」
「何かわけがあるのか?」
「負けた弓削甚六は酒毒に犯されておりましてな」
「つまり、飲んだくれか・・・」
これを聞いた志摩は重要な任務を託すことに一抹の不安はあったものの、
弓削甚六に禁酒とともに、奸臣・松宮左十郎の成敗を命じる。
一方、料理茶屋の番頭から、妹の喜乃が稲垣八之丞とその仲間たちに
もて遊ばれている最中だと教えられた甚六は、妹を助けるため急いで茶屋に向かう。
稲垣の仲間の中にはくだんの松宮左十郎を発見するが、
返り討ちに合ってあえなく気絶させられてしまった。
それからしばらくたち、いよいよ志摩からの指示が届いた。
本日、呼び出しを受け登城した松宮左十郎を問答無用で斬れ、と。
廊下の端でうずくまっていた甚六は斬り合いの恐怖と妹の様子が気にかかり、
気持ちが滅入っていて、とても平常心で戦える状態ではなかった。
「これはいかんぞ・・・」甚六が財所に駆け込んで探したものとは・・・?
小柄の方が吹っ飛んで倒れ、試合の勝敗が決まった。雨貝は志摩に尋ねる。
「どちらが上と見ましたかな」
「むろん、勝った方が上だろう」
「ところがそうではございません。負けた方が技倆は上でござります」
「何かわけがあるのか?」
「負けた弓削甚六は酒毒に犯されておりましてな」
「つまり、飲んだくれか・・・」
これを聞いた志摩は重要な任務を託すことに一抹の不安はあったものの、
弓削甚六に禁酒とともに、奸臣・松宮左十郎の成敗を命じる。
一方、料理茶屋の番頭から、妹の喜乃が稲垣八之丞とその仲間たちに
もて遊ばれている最中だと教えられた甚六は、妹を助けるため急いで茶屋に向かう。
稲垣の仲間の中にはくだんの松宮左十郎を発見するが、
返り討ちに合ってあえなく気絶させられてしまった。
それからしばらくたち、いよいよ志摩からの指示が届いた。
本日、呼び出しを受け登城した松宮左十郎を問答無用で斬れ、と。
廊下の端でうずくまっていた甚六は斬り合いの恐怖と妹の様子が気にかかり、
気持ちが滅入っていて、とても平常心で戦える状態ではなかった。
「これはいかんぞ・・・」甚六が財所に駆け込んで探したものとは・・・?
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「蝉しぐれ」が有名な、藤沢周平の短編集です。
次席家老から藩内の悪党の成敗を命ぜられた、飲んだくれの剣士弓削甚六は・・・?
「酒乱剣石割り」をはじめとして、
「汚名剣双燕」、罪人の親友を斬れず臆病者扱いされた八田康之助が汚名返上する。
「女難剣雷切り」、女房運の悪い佐治惣六に、ようやく人並みの幸せが訪れたが・・・。
「陽狂剣かげろう」、婚約者を奪われた佐橋半之丞が、その原因を作った黒幕を探す。
「偏屈剣蟇ノ舌」、偏屈者で名高い馬飼庄蔵が藩の大目付を斬った理由とは・・・?
「好色剣流水」、藩内きっての好き者と噂される三谷助十郎の密会の相手とは?
「暗黒剣千鳥」、3年前に組頭を暗殺した際の仲間が次々殺され、三崎修助は・・・?
「孤立剣残月」、上意で脱藩者を討ち取った小鹿七兵衛が逆恨みされ果し合いに・・・。
「盲目剣谺返し」、毒見で盲目となった三村新之丞が妻を騙した上司に復讐する!
全9話のストーリーを収録。
秘剣を会得した剣士たちに起こる事件を、酒や女や別れや仇討ちなどの、
いろいろな面から描いた短編集です。
秘剣の使い手がいいヤツばかりとは限らないってのが、小説っぽくなくていいですね。
みなヒーローというわけではなく藩の下級武士であり、修得したその秘剣を
時には藩のお偉方の命令で、時には理不尽な仇討ちに対抗するためと、
自分が使いたいわけではなく、使わざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
惜しむらくは、一話一話がもう少しずつ長いと、余韻が楽しめていいと思うのですが。
まあとにかくこの「秘剣」っていう響きがいいですね。
なんで「秘剣」とか「秘伝」とか「必殺技」っていう言葉に弱いんだろう。
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2006年12月1日(金)、映画の日に、藤沢周平の原作による映画「武士の一分」が
木村拓哉主演、山田洋次監督でいよいよ公開されます。
この映画の原作となったのが、この本の最終話「盲目剣谺返し」です。
「武士の一分」をかけて、藩内随一の件の使い手である島田との果し合いに臨む
新之丞。妻を騙した男への復讐は成就するのか・・・?
藤沢周平原作、山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」に続く、
時代劇3部作の最終章を飾る「武士の一分」。キムタクの演技が楽しみです。
楽天ブックスで詳細を見る
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心とは・・
キムタク主演の映画原作!
映画化もされる、藤沢版剣客小説です
「蝉しぐれ」が有名な、藤沢周平の短編集です。
次席家老から藩内の悪党の成敗を命ぜられた、飲んだくれの剣士弓削甚六は・・・?
「酒乱剣石割り」をはじめとして、
「汚名剣双燕」、罪人の親友を斬れず臆病者扱いされた八田康之助が汚名返上する。
「女難剣雷切り」、女房運の悪い佐治惣六に、ようやく人並みの幸せが訪れたが・・・。
「陽狂剣かげろう」、婚約者を奪われた佐橋半之丞が、その原因を作った黒幕を探す。
「偏屈剣蟇ノ舌」、偏屈者で名高い馬飼庄蔵が藩の大目付を斬った理由とは・・・?
「好色剣流水」、藩内きっての好き者と噂される三谷助十郎の密会の相手とは?
「暗黒剣千鳥」、3年前に組頭を暗殺した際の仲間が次々殺され、三崎修助は・・・?
「孤立剣残月」、上意で脱藩者を討ち取った小鹿七兵衛が逆恨みされ果し合いに・・・。
「盲目剣谺返し」、毒見で盲目となった三村新之丞が妻を騙した上司に復讐する!
全9話のストーリーを収録。
秘剣を会得した剣士たちに起こる事件を、酒や女や別れや仇討ちなどの、
いろいろな面から描いた短編集です。
秘剣の使い手がいいヤツばかりとは限らないってのが、小説っぽくなくていいですね。
みなヒーローというわけではなく藩の下級武士であり、修得したその秘剣を
時には藩のお偉方の命令で、時には理不尽な仇討ちに対抗するためと、
自分が使いたいわけではなく、使わざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
惜しむらくは、一話一話がもう少しずつ長いと、余韻が楽しめていいと思うのですが。
まあとにかくこの「秘剣」っていう響きがいいですね。
なんで「秘剣」とか「秘伝」とか「必殺技」っていう言葉に弱いんだろう。
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2006年12月1日(金)、映画の日に、藤沢周平の原作による映画「武士の一分」が
木村拓哉主演、山田洋次監督でいよいよ公開されます。
この映画の原作となったのが、この本の最終話「盲目剣谺返し」です。
「武士の一分」をかけて、藩内随一の件の使い手である島田との果し合いに臨む
新之丞。妻を騙した男への復讐は成就するのか・・・?
藤沢周平原作、山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」に続く、
時代劇3部作の最終章を飾る「武士の一分」。キムタクの演技が楽しみです。
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