2007年05月10日

白夜行(東野 圭吾 著)

1973年、大阪の廃墟ビルで、質屋を営む桐原洋介が殺害された。
直前に銀行で引き出したばかりの100万円が見つかっていなかった。

妻の弥生子と店員の松浦が疑われたが、彼らにはアリバイがあった。
桐原が生前最後に会ったと思われる西本文代とその恋人の寺崎が次に疑われたが、
寺崎は交通事故で、文代は事故とも自殺とも取れるガス中毒でこの世を去り、
それ以降事件は進展もなく、迷宮入りをしてしまった。

桐原の1人息子・亮司と、文代の1人娘・雪穂は奇しくも同級生だったが、
その事件の後はまったく別々の道を歩んでいくことになった。
暗い眼をした静かな少年・亮司と、人並み外れて美しく真面目な少女・雪穂の
周囲には犯罪の匂いが絶えなかったが、疑う人間はいても証拠がなかった。

そして19年の歳月が流れ・・・。

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「手紙」「さまよう刃」「秘密」などの作品で知られ、「容疑者Xの献身」
第134回(2005年下半期)の直木賞を受賞した東野圭吾の作品です。
山田孝之&綾瀬はるか主演でTVドラマ化もされました。
殺人があったのだから犯人探しのミステリーなんですが、亮司と雪穂という
2人の私小説といった雰囲気を持ち合わせている作品です。
「私は・・・」といった2人の主観を徹底的に排除しているために、
そういう感じがするのでしょう。

文庫で854ページという超大作でありながら、ストーリーにぐいぐいと
引き込まれていくため、読むスピードが鈍くなったりせずに一気に読めて
しまいます。ただ、読み終わった後、あまりの救いのなさにぐったりします。
ここまでダークな小説もなかなかないんじゃないのかな。
亮司と雪穂の境遇には同情するとして、理不尽に犠牲になる人間が多すぎるし、
せめて小説の中では、勧善懲悪を実現して欲しかったのが正直な感想です。
悪の魅力とかいう次元を超えてしまって、憎しみすら感じます。

ただ、ここまで引き込ませるテクニックを持つ東野圭吾という作家は
本当にただ者ではないと、つくづく感じさせる作品に仕上がってます。
あちこちに散りばめられた伏線が素晴らしい。
「小さな鈴が、ちりんと鳴った。」なんて、初めて読んだ時に気づかなかった
自分が腹立たしい。このくだりに疑問を持った人を尊敬します、ホント。

自分の中の順位をつけるとするならば、
「さまよう刃」「容疑者Xの献身」「変身」「秘密」「白夜行」
「手紙」「宿命」 の順かな。


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5 福田麻由子がとても良かった。
4 最後まで見れば

mano_oil at 02:07│Comments(0)TrackBack(0)東野 圭吾 

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